佐藤研究室では,生命現象を光で(光を操作する私たちの意図で)精密に制御するための新しい基盤技術の開発を行っています.本研究室が開発した光操作技術により,細胞や生体に光を照射することで,ゲノムに書き込まれた遺伝子情報を特定の場所で書き換えたり,標的とする遺伝子の働きを選択的に活性化したりすることが可能になりました.
これらの技術を活用して,生命現象や疾患に関わる遺伝子機能の解明を進めるとともに,がんや遺伝子疾患を含むさまざまな疾患に対して,光を用いた新しい治療アプローチの実現を目指しています。近年では光照射にとどまらず,化合物,核酸,さらにはバクテリアなども活用した遺伝子制御技術の開発にも取り組んでいます.
(写真)赤色光スイッチタンパク質(MagRed)を用いてマウスの生体内の遺伝子のはたらきを赤色光でコントロールしている様子
細胞や生体の中では何千何万という生体分子がうごめいており,それぞれが重要な役割を果たしています.しかし,それぞれの生体分子に色がついている訳ではないので,何もしなければ細胞内や生体内での分子過程を見ることはできません.
上述の生命現象の光操作技術の研究に加えて,佐藤研究室では, 生体分子の可視化計測を実現するために,蛍光タンパク質や生物発光タンパク質などを活用してセンサーとなる,つまり特定の生体分子を捕まえて光る機能性分子(プローブ)を設計・開発しています.この独自のプローブを細胞や生体に導入して顕微鏡等で観察することにより,生きた細胞や生体内で生体分子がどのように機能しているのか,その時間的・空間的な動態をリアルタイムで可視化できるようになりました.
このように「見えなかったものを見えるようにする」分子イメージング技術を核として,生命機能を支える動的分子情報の発見・解明とともに,分子レベルでの疾患の理解を目指しています.また,独自の分子イメージング技術に基づいて,安全でよく効く薬物の革新的スクリーニング法の開発研究や疾患の新しい診断法の開発研究も精力的に行っています.